肩こり
老若男女多くの方が肩こりに悩んでいます。
仕事をしている時は、さほど気にならないけど、ホッとした時に重くなる。四六時中、肩甲骨まわりのコリがつらい。肩が張ると頭が痛くなる。
肩こりの度合いは、人それぞれですが、多くの方が悩んでいる身体問題です。
ですが、肩こりは、治療法が確立されているとは言えません。
筋弛緩剤、痛み止め、電気治療、牽引治療、マッサージ、ストレッチ、理学療法、はり治療・・・
効果に個人差が大きくあり、万人に確実な効果が見込める治療は残念ながらないように思います。
『治療や施術を受けた直後は、良いものの、日がたてば戻る。』
そんな方が多いのではないでしょうか?
肩こり克服のきっかけになれば嬉しいです。
①肩こりの原因
肩こりの解決法に決定打がないのは、原因が多様だからです。肩こりには、大体以下の原因が考えられます。原因は一つ、主となるものがある場合もあれば、複数、関わっている場合があります。
A姿勢
猫背姿勢、頭が前に突き出た姿勢、下向きの姿勢は、肩、首の筋肉の負担を増やします。何も激しい運動や作業をしなくても、不良姿勢自体が肩こりの原因になります。姿勢を保つ筋肉が持続的にストレスを受ける為、肩こりが起こります。
【悪い姿勢パターン】
・猫背
・頭部前方移動
・チンアップ(顎が上がる姿勢)
・なで肩
・いかり肩
B骨格
側弯症、変形性脊椎症など背骨に構造的な異常がある場合です。ここでは便宜上、脊柱管狭窄職症や頸椎椎間板ヘルニアを含めます。交通事故によるむち打ち後遺症でも肩こりは発生します。ちなみにむち打ち症は頸椎捻挫や外傷性頚部症候群と呼ばれています。
C自律神経の乱れ
・睡眠不足
・変則勤務
・長時間の労働
・疲労
・精神ストレス
・更年期障害
・長時間のスマートフォン
D内臓疾患
・心臓疾患(狭心症、心筋梗塞):主に左側。
・肝臓(胆のう炎、胆石):主に右側。
・高血圧、低血圧
・耳鼻科疾患(蓄のう症など)
E外的要因
・冷え
・気圧変化
・暗所での作業
このように肩こりの原因は多岐にわたります。
マッサージ、ストレッチを短期的に実施したとしても根本改善にはつながりません。お薬を飲んだとしても、根本的な原因が解決されなければ、目に見えて楽になる事はありません。
マッサージやストレッチですっかり楽になった方はともかく、はっきりと良くならない方は広い視野で肩こりと向き合う事が大切です。
肩こりは、ライフスタイルの改善を伝えるサインです。
治療やお薬と並行してライフスタイルを振り返る事は大切です。
・睡眠時間は十分取れているか?
・運動不足になっていないか?
・食事が偏っていないか?
・作業姿勢が悪くないか?
・繰り返し動作に無理はないか?
・ストレスを溜めこんでいないか?
少し振り返ってみましょう。
②肩こりのタイプ
肩こりでお悩みの方は、多くの場合、姿勢が崩れています。
最も多い不良姿勢は、猫背です。
猫背は、背中が丸まり、頭が前につき出た姿勢です。
内臓疾患や耳鼻科疾患に起因しない肩こりの場合、猫背+二つの姿勢問題が考えられます。
それは、『いかり肩』と『なで肩』です。
なで肩は、鎖骨~腕までのラインが下がった姿勢です。
いかり肩は、鎖骨~腕までのラインが上がった姿勢。
肩こりというと、肩~首の筋肉を全体的にほぐせば楽になると考える方が多いと思います。
しかし、これは、間違いです。
『いかり肩』『なで肩』の特性に合わせ、適切な筋肉にアプローチする事が大切です。
まず、両タイプに共通に筋肉が縮んで、硬くなっている筋肉をご説明します。
この筋肉は、ストレッチで伸ばす事、筋膜をほぐすことが大切です。
【共通・ゆるめる筋肉】
①首後ろ側の筋肉 ②後頭部の筋肉 ③胸の筋肉 ④脇の筋肉 ⑤肩甲挙筋(肩甲骨と首を結ぶ筋肉)
【いかり肩・ゆるめる筋肉】
①僧帽筋上部(お相撲さんが盛り上がっている首の筋肉)
肩こりでゆるめる筋肉はこんな感じです。
肩こりの治療では、ここまでが第一段階です。
ゆるめる事は大切ですが、ここまでだとまた、硬くなってしまいます。
次の段階は、伸びて働きが悪くなった筋肉を鍛えます。
【いかり肩・鍛える筋肉】
①首前側の筋肉 ②背中の筋肉(僧帽筋中部・下部)
【なで肩・鍛える筋肉】
①首から肩の筋肉 ②首前側の筋肉 ③背中の筋肉
筋肉名をしっかり教えてほしい方の為に以下にまとめておきますね。
【参考】
いかり肩
短縮:頚部脊柱起立筋、後頭下筋、大胸筋、小胸筋、広背筋、僧帽筋上部、肩甲挙筋
伸長:頚部屈筋、胸部脊柱起立筋、僧帽筋中部、大菱形筋、僧帽筋下部
なで肩
短縮:後頭下筋、頚部脊柱起立筋(ストレートネックでは、短縮しないが緊張強)
大胸筋、小胸筋、広背筋、肩甲挙筋、小菱形筋
伸長:頚部屈筋、背部脊柱起立筋、僧帽筋上部
③タイプ別肩こりストレッチ
ポイントは、ゆっくりできるだけ大きな動きで行う事です。
但し、肩や首に痛みが生じる場合は、中止しましょう。
胸が広がる動作では、息を吸い込みます。
胸が閉じる動作では、息を吐き出します。
ともかく、呼吸は止めずに行います。
☆呼吸を深くゆっくり行う事は、自律神経を整えます。
【いかり肩向け】
1.肩すくめリラックス
肩をすくめるように肩甲骨を持ち上げます。3秒間すくめた状態から、ストンと肩甲骨を下げます。
2.顎引きリラックス
顎を引き、頭頂部を上に引き上げます。3秒間キープしてストンとリラックスします。
3.肩甲骨まわし
手を肩につけて肩甲骨を動かします。できるだけ上下内外大きく動かしましょう。胸を広げる方向と逆回し、両側行います。
4.胸クロス伸ばし
腕をクロスに伸ばします。やや胸をつき出すように行います。
5.くの字ストレッチ
まずは、上に腕を伸ばします。そこから、左右に身体を傾けます。脇の筋肉を伸ばします。
6.肩甲骨引き寄せ
手を胸の高さで前に伸ばします。手のひらは上を向いてはじめます。肘を曲げ、腕を後ろに引きます。肩甲骨を背骨に近づけるイメージで行います。肩甲骨の内側の筋肉を縮めるよう行います。
7.キャット&ドッグ
四つ這いで背中を丸める動作と反らす動作を交互に行います。
【なで肩向け】
1.腕上げ肩甲骨引き上げ
手を頭の上に置き行います。
そのまま、肩を上に引き上げます。
僧帽筋上部という首~肩の筋肉を鍛えます。
2.顎引きリラックス
3.肩甲骨まわし
4.胸クロス伸ばし
5.くの字ストレッチ
6.肩甲骨引き寄せ
7.キャット&ドッグ
≪最後に≫
肩こりストレッチは一日あたり長い時間、実施したとしても、格段に効果が上がるわけではありません。毎日継続して続ける事。デスクワークの方は、手すき時間に小まめに行う事が大切です。
鍼灸室SUNNYDAYでは、筋膜マッサージを施術者が行います。セルフケアと合わせ計画的に施術致します。
睡眠、食事、作業姿勢など生活習慣について改善項目がないかチェックします。
たかが肩こり、されど肩こり。
肩こりは総力戦です。
微力ながら、お力になれれば幸いです。